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第1話 プロローグ:欧州ドライブ出張は山の彼方へ

海外へ行ったときの航空券の半券を残しておく癖があり、それが積もり積もって、写真の様な半券の山ができました。これでもまだ一部ですが。。。

第1話

海外出張、海外旅行を何度もしているといろんな事に会います。

総じて良いことではなく、トラブルが多いでしょう。誰しも経験があるでしょうが、バッゲージがコンベヤから出てこず、どこかへ行ってしまったいわゆるロストバッゲージには何回か会いました。

 

ロストバッゲージにあった場合は、バッゲージクレーム内にある、各航空会社の窓口へバッゲージタグを持って、「バッゲージがコンベヤから出てこない」と申告するわけですが、

 

特に米国(デトロイでした)で初めてロストしたときは、まあそんなにトラブルに会う人は多くないんじゃないかと思ってましたが、さにあらんや、なんとその時は、10数人の人が列を作って、バッゲージロストの処理をしていました。それがまた午後9時過ぎでデトロイトの夜はタダでさえ、心細いのに。

 

日本でこんなに多いのを見たことはないんですが、いやはや。そして、窓口の人は、バッゲージの大きさ、形や色などを詳しく聞き、ホテルの住所と連絡先を書いて、あとは待つしかありません。

 

後日、見つかれば、記録したホテルへ届くか、または電話で問い合わせると進捗状況を教えてもらえます。

この時以来、私は、バッゲージの写真を撮っておいて必ず持参するようにしています。

 

問題は、ホテルを転々と移動するときですね。どこへ届くかわからないので、ホテルのフロントには、必ず事情を話して、そのホテルへ届いたら携帯へ連絡をもらうか、もしくは、次のホテルへ転送を依頼しておきます。こういうホテルでのコンシェルジェ(小さいホテルの場合はフロントですかね)には必ず、言っておく必要がありますね。 バッゲージが無ければ、日用品が手元にないために、仕事の合間を縫って、急いで、市中でシャツ、パンツ、ひげ措置などを買い揃えなければならず、まあ大変。こんなバッゲージロストを通算3回も経験していて、まあなんというか海外出張も楽ではないですね。

 

さて、私の海外出張でも変わったものには、私が、40歳後半の時に、50歳前後のイギリス人との、おじさん2人だけでヨーロッパを車で2週間にわたって旅行をした事があります。

 

旅行しなければならなかった理由は、車載電子機器の欧州での走行試験で、とにかく、車関係の仕事をしていた関係上、車に装着する製品の試験のために、かのイギリス人と2人だけでヨーロッパを旅行することになったのです。

 

出張旅行の行程は、イギリスのロンドンからイギリスを南下して、ドーバー海峡の海底トンネルを通って、大陸側ベルギーへ入り、そこからスイスへ入って、スイスアルプスの山越えをして、イタリアへ行き、ミラノにある会社の支店まで製品の走行試験をしながら、約2週間、ホテルを転々としながら、車でおっさん2人で旅行するというものでした。

 

さて、ロンドンからドーバー海峡を通るわけですが、海底トンネル(英語名Channel tunnel)と言っても、通常のトンネルではなく、トンネルの中は列車しか走れません。

 

車はというと、すべての車を列車に乗せて、列車で移動する。運転手、乗車している人は、車に乗ったまま、列車に乗せられ、車の中でトンネルを抜けるという、日本人からするとなんとも非効率的なトンネルでした。列車は全て箱型で、箱の中に車を入れるという感じです。ですから人は車に乗りながら、車両の壁にある窓から外を見ることになりますが、まあトンネルですから景色はほとんど見られませんので、みんなじっとしているしかありません。

 

この車を列車に乗せるというのが、また大変で、何千台という車を20~30両編成の列車に乗せるために、車を積み込むための電車の駅と同様なプラットフォームがあり、このプラットフォームが、10番線以上もあり、それはすごい光景でした。

 

つまり、車を一台一台誘導して乗せるには大変な時間がかかるので、プラットフォームをいくつも作って、一度に並行して作業できるようにしているわけです。そこで、駅へ着くと。まず、自分の番の色と番号の紙を渡され、その色ごとに順番に列車に車が誘導されて載せられるわけで、通常4~5時間は待つ必要があります。

 

ですから非常に大勢の人が、列車へ乗せる順番待ちのために待つ施設が造られています。巨大なショッピングセンターの様で、中には、酒を飲みながら順番を待つために、そういうカウンターがたくさんあり、壁には電光掲示板がいくつもあり、現在の積み込み番号を表示しているので、自分の車の大体の時間がわかるようになっていて、そういう人が大勢いて、みんなショッピングやビールなどを飲みながら歓談するというなんとも悠長な、トンネル通過待ちでした。

 

この巨大なショッピング施設はトンネルの反対側にも当然反対側からくる客のためにあり、また、これが国境ともなっているので、TAXフリーの買い物もできます。大体大陸側のベルギーはビールが安いので、ビールを買ってイギリス側へ帰る人も多いようです。

 

さて、そのようにしていよいよ車を列車に積み込み、列車ごと車に乗ってトンネルと通過、時間は1時間余ではなかったかと思いますが、まあなんと1~2時間のトンネル通過のために4時間も待つなんてね、どういうトンネルかと思いましたが、

 

実はこれのおかげで、非常にたくさんの雇用を生んでいます。列車に車を積み込むために、たくさんの係員がおり、また大ショッピングセンターには、多くいて店員が働いているわけです。そう考えれば、このトンネルは、経済効果という点では、すばらしく、効率を第一に考える日本には無い考え方でしょう。

 

さて、トンネルを抜けて、ベルギーへ入り数日後、田舎道を走っていた時のことでした。

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