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アンカー 1

第13話 会話は、投球術?

国内外を問わず、技術者と言えど、人との会話は全ての基本です。改めて言えば、
大勢の前で行うプレゼンテーションか10数人で行う会議になるわけですが、

​そういうプレゼンでの話し方にはその方法論が色々ありますが、

その中で変わった少人数での会話術としては「エレベータピッチ」というのがあります。
ビジネスマネジメントを履修した人は必ずと行ってよいほど、

経験はされていると思うのですが、


これは、相手をいかに説得するかという方法というか訓練で、

エレベータは、昇降機であるエレベータです。

ピッチは、日本語で言うピッチャーのピッチで投げるとか調整するとかいう意味もあり、
要するに直訳すると「エレベータの中で投げる」という意味です。


何を投げるかというと、相手(通常は得意先または顧客;それも重要なキーパーソン)
に自分の売りたい、または訴えたい事を要領よく訴えるということで、
それもエレベータの中に居る短時間で
 というのがその意味です。

何故エレベータの中なのかというと、
企業のキーパーソン特に役員クラスになるとなかなか時間を取ってはもらえないので、そこで、

相手がエレベータに乗るときを捕まえて、

相手がエレベータを降りるまでに自分の主張を印象づけて、


次回の約束を取り付けるというのが趣旨で、非常に短い時間の間に
いかに自分が持っているあるいは売り込みたい技術、製品の説明をして興味を持ってもらうかという訓練です。

別にそれはエレベータの中でなくても、要するに非常に短い時間の中でいかに売り込むかという会話術になるわけです。
時間的には、3分から5分位なんですが、

こんな短い時間でどう売り込むかが非常に難しいわけです。


こういう プレゼンテーションの訓練を何回かやって、
いざ、本当にこういう事を実践しなければならない時がやってきたんです。

私の場合は、米国自動車会社F社の役員で、その時に進捗しているプロジェクトについて、
どうしても採用してほしい技術があり、また競合他社より良い印象を持ってもらうために、


この役員を有る会議室の出口で待ち構え、

この役員が会議を終えて、次の会議室へ行くところを捕まえて、
廊下を歩く道すがら、こちらの主張をとにかく目一杯喋ることにしたのでした。


Mr.-----, W社との共同開発でプロジェクトを進めている〇〇です、
と短い自己紹介から始まって、主張を言うのですが。。。。
どうも相手の反応がいまいちだなーーと思いながら、

でも一生懸命喋って、言うべきことだけは言って、

あとは相手の応答を待って、しばし空白があったところで、彼は言いました。


「そうかキミの言うことはわかった。でもこの件は次の役員に引き継ぐので、

もう一度その役員に言ったらどうだ?」
「え??」 と答えたところで、タイムアップ。

しばし呆然としていたところへ、F社の担当者が来て、

これはまだトップシークレットだが、彼は担当が変わるので。。。。
それを聞いてがっくりきましたね。世の常で、

他の会社の人事ほどわからないことはありませんが、


不覚にも人事情報を掴み損ねて、用意周到に計画したエレベータピッチも水の泡とは、
がっくりして、帰った覚えがあります。
何事も自分の主張を述べる前に、事前の調査、特に相手の趣味嗜好から人事情報をしっかりと捉えるのが重要ですね。

てなわけで、私の初めての重要なエレベータピッチは見事玉砕しましたが、
しかしこういう失敗は別に無駄にはなりません。私の喋り方や、相手の表情から情報のとり方などは非常に参考になりました。

でも、

我々が話して、ネイティブスピーカーが応答した時は、即それに対して意見なり、
応答をしなければなりませんが、特に英語の場合はどうしても、
相手の言う意味を解釈して、こちらの意見を考え、それを英語で応答するというと、
反応が遅くなるので、いまいち素早い応答がむづかしいわけです。

そこでどうするかと言うと、最初に相手に質疑なり、意見を言う場合、
相手の反応と相手が言ってくるであろう意見を予め2つ程、想像予見して、

その反応に対する回答も考えながら、その上で、質疑するわけです。

その後、自分が想像したとおりの反応を相手が示した場合は、
即応答ができるということになります。なかなか頭のなかで考えることが多くなるので

最初は難しいのですが、訓練しているうちに、

自分が話している間に、頭のなかで別のことを考えることもできるようになります。

そういう訓練をすることで、まさしく、英語においても、
ピッチングのごとく、スムーズな会話が可能になります。

​会話術としては、頭の中は今、話していることを考えてはいけません、

常に次にどう話すかを考えるのです。

そしてもっとそれを進めれば、自分が望む方向に相手の意見を誘導することも可能になります。
もちろん、相手の考え方の傾向とか嗜好なども予めわかっているに越したことはありません。

よくあるのは、大企業の得意先には、
天邪鬼的な考え方をする人が少なからず必ず居ます。

つまり相手が言ったことを必ず否定しながら、自分の主張を通そうとする人が居ましたが
そんな人には、予め、あえて自分の考え方とは逆の話をすることで、帰って相手を自分の方へ引き込むことも時には、可能になります。

まさに真剣勝負の会話術はピッチャがバッターの打ち方の読みを予想する

投球術と全く同じかもしれません。

それと多くのプレゼンをする場合、どうしても滑舌が悪くて、聞きにくい人が居て
私の同僚にもよく注意を受けていた人が居ました。そういう人は、滑舌の悪さもありますが
どうも日本語の語尾が明瞭でない人が多いのです。


日本語の場合、主語、述語、目的語 の順に文章が並ぶので、最後の述語に
過去形なのか未来系なのか、どういう動作をするのかと言うのが、最後のたった2言位に集約されてしまうので日本語の意味が聞き取れないということになります


滑舌よりも語尾の不明瞭さが致命傷となる場合が多いのです。

そういう人に試しに英語でプレゼンさせるとえてして、うまくいく場合があります。

 

その理由は、英語の場合は主語、述語、目的語の順序で話しますので
語尾の不明瞭さは、名詞になりある程度、最後が不明瞭でも推察がつき

致命傷にはならないのです。

そんな事をいつも考えながら、会話術というのはなかな奥が深いなーーー

といつも思っては居ますが。

貴方も 「エレベータピッチ」を知人を相手に試してみたらどうでしょう。

会話も生きていく上で、戦術になりますよ。

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