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アンカー 1

海外閑話余談 (2) ちょっと怖い話

ロンドンから北へ150kmほど行ったところにコベントリーという小さな町があります。

 

ここは、イギリスの自動車メーカーJ社の本拠地、本社がある街ですが、

 

ほんとうに小さな田舎町で、街の中心地と行っても環状線の通りがまあにぎやかですが、少し離れるとどこまで行っても一面じゃがいも畑で

イギリスという国がロンドンを除けば、農業国であることを思わせるばかりです。

 

そのコベントリーへは、J社との共同開発のために何度か訪問したのですが、

そこのホテルへ泊まった時のお話です。

 

田舎町とて、あまりビジネスホテルみたいものもはなく、我々が止まったホテルは、いわゆる石造りの非常に古いホテルで、同僚と一緒に止まった時のことでした。

そのホテルには、周囲をぐるっと取り囲んでいる、幅が約10mほどのお堀があり、玄関へ行くには、そのお堀にかかっている木造のアーチ状の橋を渡ります、

 

そしてその橋は跳ね上げ式になっています。

その橋を渡り石造りの狭い玄関を入ると、中は薄暗い小さなホールへと続きます。

 

床は黒光りした木の床で、壁は全て石造りでむき出しの石でした。受付へ進むと小さな木枠をつけた窓口があり、初老のきちんと正装した紳士然とした人がこちらを見ていました。

 

その受付には、青いリンゴが幾つかかごに盛られていて、その横の一人分しかない受付台で記帳して、

さて部屋へ行こうとしたところどうも同僚の様子がおかしいことに気が付きました。

彼は、どうも調子が悪いらしく、少し顔色も悪そうでしたので、

 

どうしたと聞いたところ、どうも彼は霊感が強いようで、なにか感じたようで、少しどぎまぎしている様子でした。でも私はどうもないので、気にせず、2階の自室へと行きました。

 

階段も全て石造りで途中には、甲冑と思われるものが飾ってあったりして、やはり石作りの廊下も暗く、まどは石の壁に開けられた小さな窓だけでした。

 

部屋へ入って、見たところ、窓は、深--いドレープをつけた赤くて重いカーテンがあり、それを引くと日中でも部屋の中は真っ暗です。

風呂はというと、バスタブが隅の方に置いてあるだけで、風呂場らしき区切られた部屋はなく、ただバスタブの周囲をこれも重いカーテンが周囲を取り囲めるようになっていて

 

バスタブへ入るときは、カーテンを引いて入るという具合で、但し床は部屋と続いている木の床のため、バスタブの外へ水が出れば、部屋の床は水浸しになってしまうわけです。

 

まあなんと古い作りで、しかも壁は全て石です。。。

それでも、一夜を開けて、同僚と会った時に彼が言ったことは、

「昨夜は寝れなかった。何か一日中誰かがざわざわと部屋に居るようで、どうも○○が居たようだ」というのです。

彼は霊感が強いため、古い建物の場合、こういう事がよくあるそうで、

 

どうも土地の人に聞いてみると、そのホテルは、昔、修道院であったようで、それを改修してホテルにしたそうで、

インターネットで調べたら、その修道院は、とても有名な修道院でした。

次の文章は、ウィキペディアに書かれている記事ですが、

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コヴェントリーは1043年、領主であったレオフリック (Leofric) とその妻ゴダイヴァ夫人 (Lady Godiva) により、ベネディクト派の修道院が設立されたことに端を発していると言われてきた。最近の調査では、この修道院は1022年には存在していたようであり、2人はそれを支援したといった見方が強い。

 

領主レオフリックとゴダイヴァ夫人については有名な伝説がある。重税に苦しむ領民を気の毒に思ったゴダイヴァ夫人が、

夫レオフリックに税を軽くするように申し述べたところ、レオフリックはゴダイヴァが慎み深い女性であることを知りながら

 

「お前が全裸で馬に乗って町を一周したら考えてやろう」と言った。悩んだ末にゴダイヴァは決意し、町中の民に外を見ないように命じた上、長い髪だけを身にまとって馬で町を一周したのである。

 

町民はみな、このゴダイヴァのふるまいに心を打たれ、窓を閉めて閉じこもった。

これにより、レオフリックはやむを得ず税を軽くしたという。

なお、このときにただ1人外を覗いた男がおり、

これがピーピング・トム (Peeping Tom) という言葉の由来になったという。

(日本で言うデバガメ)

 

この伝説にちなんで、市の中心部には、馬に乗ったゴダイヴァの像が建っている。

 

さて、このゴダイヴァ夫人の名前ですが、どこかで聞いたことがあるのでは?

そうです。日本語読みでは、「ゴディバ」となります。ベルギーのチョコレートの名門メーカ

の名前であり、この絵の肖像がゴディバのロゴマークとなっているのです。

ジョン・コリア作「ゴダイヴァ夫人」。1898年頃の作品

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どうもここに書かれている修道院が今、現存するこのホテルらしく、(ここがその修道院であるという確証はないが、この石造りの大きな建物と言い、中の作りといい、このホテルが修道院であったことは間違いないらしい事も合わせて多分、その修道院と思われます。また、この頃の修道院内は、かなり閉鎖的で、闇に包まれた部分もあったということで、亡霊のようなものが感じられたということでした。イギリスは時として幽霊と同居することをなんとも思いませんし、そういう幽霊が出るというアパートなんかも良くありますし)

 

外観を見てもさもあらんとも思えるものでした。とすると霊感が強い同僚が感じたものは、その建立したという○○さんかねーーー。。とみんなで話していたところで、その後は2度とこのホテルに泊まることはありませんでした。

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さて、J社との共同開発のため、J社の開発中の未発表車に開発中の機材をつけて市場試験をするために公道へ。

イギリスの自動車会社は、未発表の新型車を公道で走らせて試験をするんです。

 

日本人の感覚としては少し異常ですね。

 

しかし郷に入っては郷に従えというわけで我々も2人で公道上で試験をするべく、走行しました。

 

そこで、交差点で止まっていたところ、左側に止まった車に乗っていた若者が窓を開けて、こういう言うんです。

 

「へい、これって、J社の新型車か? クールだな。。」と言って、楽しそうにジロジロと見回して居ました。

 

しかし彼らからすると変でしょうね。だって、J社の未発表に新型車、それも超高級車にへんな日本人が2人乗ってドライブをしているんですから。

 

日本人の常識から言ったらありえないでしょうが、そこはそれ、ここは、愛すべきイギリスですから。。。ハハ。

 

左がチョコレートメーカー ゴディバのロゴマークです。

この絵をモチーフにしているのがよくわかるでしょう!

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